毒キノコの研究

856 View :: 2024-04-21 05:39:19

1) 毒キノコの患者数・件数


平成元年~22年のきのこ中毒の記録を見ると、患者数は4291名、
件数は1172件だった。そのうち98件は種不明で、種類も分からないのにおいしそうなので食べた人が多いと予想する。
また、テングタケ科、イッポンシメジ科が圧倒的に多く、間違えやすい
ようだ。特に、テングタケ科は、猛毒菌が多く、食用菌はとても少ない
ため、注意が必要だ。
また、死亡者数で言うと、ドクツルタケが一位で、11人が死亡している。
他に、ニガクリタケ、カキシメジ、カエンタケ、ニセクロハツなどがある。
ドクツルタケに似た食菌は、シロマツタケモドキなどがあり、注意を
要する。

2) きのこの食毒の迷信

「派手だと毒、地味だと食」などの迷信はきっと誰もが知っているだろう。
しかし、これという根拠はなく、どうすれば食毒を簡単に見分けられるかという気持ちがいろいろな迷信が生み出したと思われる。
でも、全て間違っており、これに従って食毒を判断すると、自分から中毒するようなものだ。 
では、これから迷信を紹介する。

「縦に裂けるキノコは食」
縦に裂けるというのはどこからでてきたのだろうか。おそらく、
食用きのこに縦に裂けるものが多いことからきたのだろう。しかし、
それと同じように、毒キノコも縦に裂けるものが多い。というか、
きのこの大半が縦に裂けるので、この方法は駄目だ。

「虫が食っていたり、その跡があったら、大丈夫」
虫だって、食か毒かなんて、分からないし、その虫がどこで中毒して
いるか知れたものではない。死亡例のあるドクツルタケも、虫に食われていることが多いので、この方法もあてにできない。

「色が鮮やかであれば毒、地味であれば食」
鮮やかというのは赤、地味というのは茶色のことなのか。
おいしい食用キノコには、茶色のきのこが一番多い。でも、それだけに
毒キノコも茶色が一番多いのだ。毒キノコの中で、赤と言ったら
ベニテングタケやカエンタケの他にはあまりないのじゃないかと思う。
しかし、食用キノコも毒キノコも茶色だけではない。黄、白など、
たくさんの色がある。ゆえに、この迷信も安心できない。

「ナスと一緒に煮れば毒は消える」
これも、どこからでてきたのだろうか。ナスの成分で消える毒性分は
あるが、ほとんどはそんなことはない。火を通せば食べられるものも
たくさんあるが、それはきのこの一部で、毒キノコはやっぱり火を通しても毒のままなのがたくさんあり、煮てもだめなのである。

「毒キノコは、銀でできたスプーンを入れて煮れば黒く変色する」
なぜか魔法みたいな話だ。なにを根拠に言っているのだろうか。
なにも分からない。

代表的なものはこれらだが、実はもっとたくさんある。
珍しいものでは、きのこ汁に大根おろしを入れると中毒しない、
猫に食べさせ、中毒しなかったら食べれる、
ぬめりのあるきのこは食べられるなどがある。
また、そのような迷信は29個記録されている。各地で、言い伝えられてきたのだろう。
きのこに出会った時、「おいしそう」と思う事が結構ある。
しかし、それはあてにならない直感で、それで中毒した人がたくさんいる。

これらの迷信は全て間違っており、確かな食毒の判別法は無く、きのこの知識を身につけなければならない。

3) 毒成分・症状

代表的な毒性分とその症状を紹介する。

「アマトキシン類」
なんだか舌を噛むような名前だが、りっぱな毒性分だ。
テングタケ属に多く、死亡することもある。
しかし、この成分に対する解毒剤は現在開発されていない。

「イボテン酸」
同じくテングタケ属に多い。
しかし、味が美味しい毒性分でもある。名前の由来は、イボテングタケから。

「イルジン」
胃腸系の中毒を起こす。

「ムスカリン」
アセタケ類、カヤタケ類に多く含まれる。
まれに心臓発作などになるが、普通は発汗、多涙などになる。
解毒剤にアトロピンがある。

これが、代表的な毒性分だが、他にももっともっとある。
しかし、それを全部ここに書こうとしたら、何ページあってもたりないだろう。
コプリンや、溶血性タンパクなど、危険なものがたくさんある。
一方で、美味しい成分もたくさんあり、きのこの成分の研究も少ししてみたい。
また、成分は、名前が面白いのがたくさんあり(例えばアンタブスなど)、
もっと調べてみたかった。

4) 最後に


毒キノコは、危険だし、死亡する可能性もありますので、名前の分からないきのこには、
むやみに手を出さないでください。
ぼくがこれを書いた理由は、みなさんがきのこの食中毒をしないため、
ぼくの勉強のため(笑)、そしてみなさんにきのこの恐ろしさを改めて考えてもらうためです。
話は変わりますが、きのこ中毒にかかった時の応急処置についてです。
中毒したと思ったら、すぐに吐き、吐いたものと、同じきのこが残っていたらそれを持って、病院へ急いで行ってください。
また、参考にしてもらったホームページや図鑑など、ありがとうございました。


5) 参考


・「きのこ通信」―美味しいきのこは何色のきのこ?

・「Wikipedia」―ヒトヨタケ、クサウラベニタケ、ドクツルタケ、ツキヨタケ、ムスカリン

・「きのこ狩りガイドブック」永岡書店―毒キノコの知識

・「わが国における自然毒による食中毒事例の傾向」


※PC版では名前はフルネームではありません

Written by ひかる

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